知人ネットワーク上でのお互いへの意見の時間発展についての論文が出版されました。この成果は 2022年度卒の黒田君の修士研究に基づくものです。
黒田君、おめでとうございます。
D. Kuroda, K. Kaski, & T. Shimada, “Frustrated opinion dynamics on real networks and its predictors”, Frontiers in Physics 1166219 (2023).
人間同士の協力関係や意見の更新の機構のひとつとして「間接的互恵性」の重要性が指摘されています。この論文ではこの間接的互恵性による意見更新モデルを実際の知人関係ネットワーク上でシミュレーションしました。これにより、ネットワーク構造を考えない場合と異なり関係性が固定した終状態に至らない傾向があること、またその全体的振る舞いが我々が先行研究で提案した平均場近似によって良く説明されることを示しました。さらに、関係性の局所的な振る舞いについてはネットワーク上での近傍だけの情報の方が良い予測因子になることも明らかにしました。